カトウのブログ

観た映画や読んだ本、その他について

「羊たちの沈黙」とビジネス本

最近は集中的にビジネス本を読んでいるのですが、その中の多くに「心」というキーワードが頻繁に出てくる様な気がしています。ビジネスで「心」だなんて、なんとなく甘っちょろい感じを受けますが、読んでみるとわりと納得でした。それと、「自己開示」の必要性についても勉強になりました。相手の事を分かる事で安心することってありますからね。

 

「街場の憂国論」(内田樹著)では、資本主義は「単一の商品にすべての消費者が群がる事を理想とする。そのときコストは最小となり、利益は最大となるからである」そして、そういった資本主義が続いていくと世界は停止する。と書かれていて、今、「資本主義の突然死に接近しつつある」ということでした。資本主義ってそいうものなんですね。勉強になります。ただ、じゃあ、その突然死を止める方法はないのかと思っていたら、それは「消費者の成熟」であるということでした。一円でも安く買うということを続けていったら、地域の商店は消えてなくなってしまうかもしれない。個人商店が無くなっても大丈夫じゃなかと漠然と考えがちだけど、国レベルで言うとそうもいかないらしい。そうなったときに結局我々に跳ね返ってくることになりかねない。つまり消費者が肌感覚でそのへんを理解してないと厳しいという事。実際にこの本では、アメリカの消費者は国民経済という視点がなく、そうやってビック3を潰してしまったと書いていました。

 

そういえば先日、録画していた映画「羊たちの沈黙」を見たのですが(何度も見ているのですが、鉄板なのでまた見てしまいました。でも改めて気づくこともあるものです)、FBI実習生のクラシス(ジョディ・フォスター)が天才的異常犯罪者(いいのか?)のレクター博士に自己開示をして気に入れていました。絶対にプライベートな事は言ってはいけないと上司に念を押されていたのに、クラリスは、レクターの交換条件を飲んでプライベートを明かしたのです。結局これがレクターに気に入られ(たぶん?もちろん、レクターには違う目的のためにプライベートを聞きだしたいとう考えがあったのですが、クラリスの態度は気に入ったように思います)事件解決の糸口を見つけるたのです。ビジネス本の影響からか、自己開示はここでも生きてるなと思わず関心してしまいました。

 

また、この映画の犯人バッファロー・ビルは、若い女性の革を剥いで服を作る変質者です。その変質者バファーロー・ビルに殺されかけるのが政治家の娘でした。普段はわがままそうだけど、身体障害者の振りをしたバッファーロー・ビルが、苦労して車にソファを積み込もうとするところをたまたま通りかかり、親切心で手伝ったところを誘拐されてしまいます。親切心があだになって酷い目にあう社会。隣にどんな人間がいるかも分からない社会が違和感なく描かれています。

そういう社会じゃ地域なんてあったもんじゃない。だから、地域や繋がりなど関係のない、一円でも安くという消費は当たり前になるのも頷ける。そんな社会であれば消費者が成熟するなんて望めない。

 

そういう意味では、まだ日本はいい方かもしれません。(大差ないという声も聞こえてきそうですが)ビジネス書であれだけ、心という言葉が出てくるということは、それが現在ビジネスを行う上でのキーワードであり、それを消費者の何パーセントかは望んでいるのでしょうから。日本では消費者の成熟は徐々にすすんでいるのかもしれません。