カトウのブログ

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言葉はどこまで有効なのか

脱法ドラッグ」の新呼称が「危険ドラッグ」に決まったそうです。この名称でいいのかという意見も多いようですね。確かにそんな感じもします。「母さん助けて詐欺」だとか、どうもいいネーミングを決めるというのはとっても難しそうです。

 

ゆるキャラ」はだいぶ前にみうらじゅんさんが作った言葉だと思うけど、現在全国に無数にゆるきゃらが蔓延ってるのはこの言葉のお陰なんでしょうね。『マイブーム」然り、ある意味天才ですね。ちなみに僕が好きなみうらじゅんの言葉は「そこがいいんじゃない」。つまんない映画を見ても「そこがいいんじゃないと言えば、逆に面白くなる」というような魔法の言葉のように使用するワードだったと記憶してます。ネーミングではないですけど。

 

「芸術起業論」(村上隆 幻冬社)に、「スーパーフラット」という言葉を作ったときのことが書かれていました。「今のままではポップという概念を生み出したイギリスとアメリカにやられっぱなしだ。これでは、いけない!キャッチコピーがなければ、日本の芸術の特異性を世界にプレゼンテーションできない」で出来たのが『スーパーフラット』。この言葉にこめた概念は「不可解な日本の芸術の輸出の糸口を探すこと」だったという事のようです。これがアメリカの美術の世界で大ブレイクしたというなんです。確かに、そう言われれば、「ポップ」と言ってしまえばその枠で括られるてしまい、世界的なブレイクとまではいかなかったのかな、なんて思ってしまいますね。

 

スポーツの世界でなるほどと思ったのは「チェアマン」という名称。Jリーグが発足したとき、川淵氏が先輩の岡野俊一郎さんに「コミショナーという名称でいきたい」と相談したところ、岡野氏は「それじゃプロ野球と同じじゃないか、チェアマンにしろ」とアドバイスしたということです(『100年インタビュー』という番組で岡野俊一郎さん本人が言ってました)。イメージという点でも、けっこう大きな決断だったような気もします。

 

だだ、そうは言っても、言葉って表すのは難しい。実際どこまで伝える事ができるのかとも思ってしまいます。世の中には薄っぺらい言葉も多い様な気もしますし。なかなか伝わる言葉、残る言葉ってないものです。ぼくはビジネスで成功する人って言葉を持ってるなと思う事があります。その言葉がどっから出てくるのか、天性のセンスなのかは謎ですが。


養老孟司の大言論3」に「言葉はどこまで有効なのか」と書いてありました。そして、橋本治が述べたことが忘れられないと言う事でした。「われわれは言葉を節することを、そろそろ知らなければならないのではないか」。