カトウのブログ

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ドラマ「ロング・グッドバイ』面白かったですね

NHKで放送されていたドラマ『ロング・グッドバイ』は、なかなか面白かった。浅野忠信がカッコ良くてよかったです。

 

ロング・グッドバイ」と言えば、内田樹さんの著書『村上春樹にご用心』に村上春樹の「羊をめぐる冒険」と「ロング・グッドバイ」は同じ話だと書いてあったような記憶があります。共通するのは「邪悪なものの侵入を主人公たちがチームを組んで食い止める」という神話的な話型を持っているということでした。そういえば、このドラマでも生卵がつぶれているシーンを入れてましたね。「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」というあれですね。たぶん。

 

ドラマでも、金も名誉もある人間がいて、それに紙くずの様に扱われて死んでいっている人たちが沢山いて、それに楯突くと痛い目に合うのはわかっているけど、そんな巨大な力に対峙していく、というような図式になっていたと思います。

このドラマの脚本家は「「何の見返りも求めず、ただ自分が正しいと思う方を選ぶ」そんな人間として生きていると、いったいどんな目に遭い何をどれだけ失うのかということを主人公・増沢磐二が身をもって教えてくれる、つまるところ本作はそういう話です。」とホームページに書いてありました。

 

「邪悪なもの」とは「システム」であって、それは人間が作り出したものであることは間違いない。でも浅野忠信(増沢磐二)はドラマの中で、そんな「巨大な力を人は望んでいる」というような意味の事を言ってたな。何か大きな力について行きたいというのも本音だし、そいつらに好き勝手やらせたくないというのも本音。そういう力に立ち向かうのは結局は無理だから、対峙してくれる人に小さな望みを抱くのかも。正しいと思う方を選ぶ人が身近にいるとそれで、見失っているものを取り戻して、ようやく救われるということでもあるかもしれないし。

 

虚言癖の女も実は美しい過去があって、信じていた男がいつの間にか邪悪なものの歯車になっているという空しさ。でも、人ってそういうことなんだろうね。

ドラマのラストの方では古いクラフト紙のような紙に刷られた「原発」のポスターとともに、昔の日本が東京オリンピックに向かって高度成長を迎えいようとしている姿が写されていました。ただ、その姿がいつのまにか、2020年の東京オリンピックに向かう現在の日本の街にスライドしてた。

それが今の原発問題も含めた様々な日本の現状を憂いての意図か?はたまた、今も昔も変らないという事なのか?。ただ、NHKの会長をめぐる騒動があっただけに、ちょっと意味深じゃないなんて思ってもみたんだけど。どうなんでしょうね。