さよなら私
みうらじゅん著『さよなら私』(角川文庫)はなかなか良い事が書いてありました。
おそらく仏教の教えをみうらじゅん風に書いたものだと思います。ですので「なるほど」と関心すると同時に、これから「そうしてみようかな」と思ってたりもして。ちょっとした生き方の指南を受けた様な、そんな気持ちになりました。大袈裟でなく。
例えば、「自分探し」という言葉がメディアで頻繁に使われていた時期がありましたが、「探したあげくに最悪の自分しか見つからなかったらどうするの?」「そんな暇があったら、自分なくしをした方がいい」と言っていました。自分なくしって、ようは煩悩を消すということ。この本では一貫してこのことは書かれていたような気がしました。
また、「そこがいいんじゃない」と言い続けると、かなり悪い状況でも乗り切れるとも書いていました。だいたい、自分の決める価値判断は信じてはいけなくって、「『楽』や『得』を求めるズルい脳がいるのが人だから」ということでした。
さらに、「他人と比較しない」とか「あきらめるのが正しい」とかが、かなりくだけた調子ではありますがいろいろと書かれていて、なるほどな~と終止関心。
「『不安タスティック』と大声で叫びましょう」なんていう「不安タスティック」という言葉を思いついたので書いたとしか思えない、不安からの逃避法など、後半は結構そっち方面の内容に傾いていっていましたが。それはそれで面白かった。
でも、この内容って世間ではどう理解されるんだろうというのも興味がある。もしかして、やっぱり自分らしさを求める自分探しの方が人気があるんですかね。