カトウのブログ

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカは文人画だね

ブックオフで「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ完全版(229分)(1984年セルジオ・レオーネ)が750円で売っていたので、即購入して早速観てみました。まあ何度も観ているけど、やっぱり面白いね。

この映画、ネットでは、ラストのヌードルス(デ・ニーロ)の笑顔が話題になることが多いようです。「どういう意味?」ということで、いろいろな説が語られていました。ぼくは他にもマックスの自殺説がどうも腑に落ちず、この2点では秘かに自分なりに解釈して納得することにしています。まあ、いろいろな意見があるということは、監督もそのへんはボカスしてるのかもしれないので、個人がそれぞれに判断すればいいということなのでしょうね。

 

あらためてみて観るとこの映画の好きなところって風景なんだろうなと気付きました。あの時代のアメリカを知ってるわけじゃないけど、何か懐かしいというか胸がキュンとする感じがあるんですよね。そのへんの映像美というのか、風景のチョイスが素敵なんだろうな。この間、日曜美術館で知ったのですが、室町の水墨画、あるいはその後の文人画や南画というのは「人間の生活が埋め込まれている」絵なんだそうです。よくみると必ず人間の営みが小さく描かれている。僕は、いつも雄大な自然の中に点のようにポツンと描かれている人(おじさんが山道を歩いてたり、家の中でおじさんがくつろいでいたり)が大好きなんですね。これって「友を訪ねる」場面らしい。なるほど、納得。だからいつも気持ちがホンワカしてキュンとするだなと合点がいきました。

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」も血なまぐさい内容の割にほんわかした懐かしさを感じていい気分になるのは、おそらく、文人画(南画)と似ているものがあるのかもしれない。風景に人が埋め込まれている。それも情が色濃く埋め込まれている。晩年になってからの友との再会のも含め、そういう意味では、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」は文人画的映画と位置づけることができるなと思った何度目かの鑑賞でした。