カトウのブログ

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「黒いスーツを着た男」という映画

フランスとモルドバの合作映画「黒いスーツを着た男」(2012年 カトリーヌ・コルシニ)という映画を見ました。

オフィシャルサイトでは『犯すつもりのなかった罪を背負った、美しき犯罪者。目撃者の女と被害者の妻、三人の運命が交差する』本格クライム・サスペンスということでした。

 

実際観てみると、はらはらドキドキのサスペンスではなくって、むしろ社会派映画の色合いの方が強いのかなと思いました。

 

事故の被害者は貧しいモルトバ移民でしかも不法就労者。その事故を偶然目撃してしまったフランス人女性は被害者を善意で助けたいと思っていたのに、話がもつれて変な方向に転がっていくというのは、フランスならあり得る話なのかもしれません。

(サッカー好きからすると、フランスの移民の問題は薄らとですが、わかる様な気もしますので。)

 

ストーリーとしては、根本はひき逃げした男が酷いんだけど、この男も実は貧困層で、真面目に働いて、社長の娘を射止めて結婚することになり、ようやくこれからという状況(しかも、親孝行とうい設定なのが憎い。さらにハンサム)。

 

 なのでこの映画、一見どこにも悪人は出てこない。根はごく普通の善人ばかりなのに、「運が悪いとみんな不幸に向かって行って切ないな」と思いがち。だけど良く考えると、どうもそうではないエゴのぶつかり合いのようにも見えてくる。

 

強烈だったのは、病院で事故死した夫の臓器を提供してほしいという病院の依頼に、残された妻が「いくらくれるんだ。うちの国なら金(具体的に金額を言ってました)になる」とやりとりをするシーン。本気で言ってるのか皮肉なのか?いづれにしてもちょっと壮絶ではありました。