夏目漱石の『こころ』
「NHK BSの『夏目漱石「こころ」100年の秘密』という番組が面白かったです。
『こころ』は(本棚にあったので)たぶん前に読んだ事はあったと思うんですけど、ほとんど覚えてなかったし、読んだときにまったく理解できていなかったんだなということがこの番組を見てわかりました。(理解できてたら、少しは思い出すはずですから。)
とにかく、謎が多い小説らしく、いろいろな読み方というか理解の仕方ができるようです。お金、恋愛、政治と人の心との関わり。「心とは相対的なもの、金や異性によって変化するから信じるな」だとか。
また登場人物については、主人公の「私」と「先生」とは同じ自分であって、「先生」から見て「私」は若い頃の私じゃないのか?と言うSF的な見方も紹介されていて、とても魅かれました。
『こころ』は1914年に新聞で連載された小説らしいのですが、このころの精神は自立することだったようです。
恋愛についても「恋愛することがヨーロッパに近づく事」と当時は思われていて、そんな考えに漱石は批判的だったということです。
「自立は孤独と同じであって良い事じゃない」と。「孤立した近代人=寂しい存在」であるということがこの小説では書かれいるのでしょう。
「漱石は解らないように、小説に思う存分に本音を盛り込んだ」(高橋源一郎)のが『こここ』だったらしいです。
番組の冒頭紹介されていまいたが、この当時、漱石は子供はこの小説を読まない方がいいと言っていたらしいです。「これを読むのはおよしなさい」と。確かに、そういう小説なんですね『こころ』とは。
もう一度読んでみるしかないな。