カトウのブログ

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貧困大国・貧困ビジネス

前にドラマ「震える牛」のことを書きました。食品偽装の話で実際ありそうな裏の現実という内容で恐ろしかったのですが、最近読み始めた「(株)貧困大国アメリカ」(堤未果岩波新書)はさらに根が深く、逃げようのない感じの恐ろしい現実が書かれていました。

 

今のアメリカ社会のことが書かれているのですが、巨額な利益を上げる一握りの企業がどんどん利益を伸ばし、残りの人たちは地獄行きという社会になっている現実を浮き彫りにしていました。

例えば養鶏業の実態。狭い養鶏場でどんどん太らせて、どんどん売る。鶏は当然ストレスにやられちゃうので、抗生物質を与え続ける。人工的に太らせて、薬づけの鶏を食べさせられて健康にいいわけない。

良識ある人がそんなやり方に異を唱えるとすぐに社会的に抹殺されるという実態。学者や政治家への大手企業の献金やロビー活動で、そんなめちゃくちゃやっている一握りの人たちのやりやすい様な世の中に流れていっているのが現実らしいです。養鶏業を営む中小業者や家族経営の業者の地獄のような実態とそれを知らずに食べさせれるているアメリカ国民という事実。もちろん日本人の我々も他人事と思えません。

 

養鶏業の実態が第一章。第二章以降は遺伝子組替え食品に。これもさらに深刻で恐ろしい。TPPで日本はどんな影響を受けるのか?この本のオープニングでも「TPPは国家としてのアメリカを相手にすると思ってはいけない。今政府の後ろにいるのは、もっとずっと大きな力を持った、顔の見えない集団」だと書いてあったけど、勝手にへんなもの食わせないでほしいなというのが偽らざる気持ちです。

 

この本での著者からのメッセージでは「1%層が合法的に統治権を手にし、株式会社化した新国家アメリカ」と言っています。「この数十年で完成させた驚愕の略奪型ビジネスモデル」「TPPは終わりではなく序章」。どれも絶望的だけど、それが現実というのも事実らしい。救いはないでしょうか。